朝日杯フューチュリティS(2018)のレース考察しました。

有力馬の考察

グランアレグリア

 先ず、1:33.5の新馬レコードに加え、上り33.5秒で纏めた楽勝の新馬戦。其の2着馬が、先週に横綱相撲にて勝ったダノンファンタジー。前走は牡馬混合重賞を立ち遅れから、直線の間にスルスルと先団に取り付くと、直線では突き抜けて楽勝。先週ダノンファンタジーが2歳女王に成った事に拠り、間接的にも評価は上昇。サウジRC圧勝からのローテは、昨年当レースを圧勝したダノンプレミアムと同様。此処までは非の打ち処はない。が、決して紛れがない訳でもないので不安点を探ってみる。

 ①関西への初輸送と初コース。関東馬であり、輸送で大幅な馬体重減や精神面カリカリしているといった事は、牝馬であれば尚更考慮しなければならない。現状だと、東京コースに比べ急坂のある阪神コースはパフォーマンスを落とす可能性は高い。

 ②ゲートが悪い可能性。2戦しか熟しておらず判断は難しいが、ことGⅠ戦に於いて出遅れは致命的。前哨戦の重賞とGⅠ戦では此処の部分には明確な差がある。前走は相手にも恵まれていたのも事実。内の後入れ奇数番を引くとなれば、より一層不安要素となり得る。

 ③ポリトラックコース追い。秋天時レイデオロの追い切りの時の馬場に脚を取られたのがキッカケと一部囁かれているが、藤沢厩舎が最近Pコースでの追い切りを積極的に取り入れた。が、レイエンダ、シェーングランツと人気馬でも重賞では結果が出ていないのが現状。当週の追い切りでWコースにしたのは救い。

 ④牝馬である事。牡馬に比べ牝馬は体調管理が難しく、前2走の様な状態で出走できるとは限らない。当日の馬場入場迄平穏を装っていても、いざレースが始まってみないと分からない面がある。事実、牝馬で当レースを勝った馬は皆無。只、4年前から中山から阪神外回りコースとなり、牝馬でも勝てる可能性は上がった。

 ⑤ルメール騎乗固持の為、阪神JFを蹴って朝日杯FSに登録?割と早い段階から朝日杯FSに決定しているし、どちらのレースに出走するにしても、サウジRCからのステップは変わらず、個人的には然程考えなくても良いとは思う。一週スライドしたのは確かだけど。

 特に①、次いで②を危惧。③は強い馬なら何処で追い切っても然程問題なく、④は昨今ではあまり必要以上に懸念することはないものの、斬れが持ち味の馬であり、一番の肝は馬場状態。是ならば④とも絡む。然も、新馬戦で負かしたダノンファンタジーが危なげなく先週2歳女王になった事に拠り、間接的に人気は過剰気味になりそう。其のダノンファンタジー以外の相手は然程強くない。

アドマイヤマーズ

 新馬勝ちから重賞勝ち含む3連勝。一週前から当週の動きは良く、此処照準にしたステップは好感。折り合いが付き好位から運べて、デムーロ騎乗も強調材料。並んで抜かせない勝負根性もあり、実績からグランを負かす最右翼にはなる。只、是までの3戦は相手が如何にしても弱すぎる感。唯一挙げれば新馬戦で負かした新潟2S勝ち馬ケイデンスコールのみ。前走は休み明けだったとしても、ダート上がりの馬を振り切るのに相当モタついていた結果をどうに捉えるかだが、個人的には評価を下げたいと思う。

ファンタジスト

 新馬戦1200m勝ちから1200mの小倉2S勝ち後に1400mの京王杯2Sを制し、3連勝での今出走。操縦性が高く折り合いが付く事から、マイルでも問題ないだろうとの事。一週前では2歳馬としては驚異の栗東坂路4F49.5秒の破格時計。然も、最後ゴチャ付いたり、他馬にぶつかったりしての時計だけに驚きの一言。当週は馬場が渋った影響もあるが、一変して52秒後半で終い12秒ジャスト。因みに前走時の最終追い切りは56秒台を終い13.1秒。要するに操縦性が高く、展開選ばず臨機応変に対処できるという事。未知数部分はマイルへの対応。ケイコでの弾け方からして距離不安は更に上がり、内寄りの枠が欲しい所。仮にグランが前評通りに走れたとすれば、負かすとしたらこの馬の嵌り競馬ではないかと思う。

ケイデンスコール

 新馬戦でアドマイヤマーズに敗れたとはいえ、反応の良さとエンジン点火の速さはコチラの方が上。新潟2Sでの直線の弾け方は案外だったが、寧ろこの馬は阪神の方が末脚が生きるのではと個人的には思う。只、一頓挫あって新潟2Sからの直行ローテでの出走は割り引きが必要。

ドゴール

 一週前から今追い切りでも良い動きを見せている。9月1日の新潟1400mの新馬勝ちが馬場を考えれば中々だが、そこで負かした相手全てに於いて未だ勝ち上がっていない。早3カ月経過して、これは結構珍しい。そして次戦はグランアレグリアが圧勝したサウジRCで、初のマイル戦でなら健闘した方ではないだろうか。逆説に云うと、サウジRCはレースレベルが低いとも。

朝日杯FSのまとめ

 出走馬の戦歴を幾度も見直してみるが、4、5頭で横一線というイメージを払拭できなかった。強いメンバーでのステップを踏んできた馬がいないというのが正直な感想。
 其の中で唯一突き抜ける馬がいるとしたら、グランアレグリアだろうという結論に至る。意外性という面では、前走が比較的高いパフォーマンスを示した、マイネルサーパス。
 グランアレグリアの不安点は多岐に渡り、オッズ程の差は感じず明らかな過剰人気。超級アーモンドアイと比べるのは如何せん時期尚早というもの。其れでも牡馬勢に此れを凌ぐほどの、パンチ力有る馬はどれかと言われてもパッと思い浮かばない。前走は緩い仕上げながら楽勝したのに対し、今回は負荷を掛けられている。2週連続でポリトラック追い切りだったら、評価は下げようと思っていたが、幸いWコースで追い切った。是が決め手。距離ロスの無い内枠も手に入れた事で、ゲートさえ出れば。軸筆頭で頭から。

 アドマイヤマーズの3戦見ても、どうにもジリっぽい。然し操縦性の高さに競馬のし易さといった面では、群を抜いている。ココを照準にした距離とローテは好感大で未だ負けなし。タイプ的には大崩れしない馬というのが正直な感想。3連系の軸なら当馬が一番だが、勝ち切るかというと心許ない。相手~連下まで。

 ファンタジストの一週前追い切りは破格だったが、当週の反応は個人的には案外。上記でも記した、操縦性が高く展開不問での強味はあり、重賞2勝の実績は評価しなくてはならないが、距離延長の前走、ロスなく周った直線で突き抜ける勢いに感じたが、最後盛り返された処からしてマイル戦が初というのは評価を落とさざるを得ない。内枠スタートから距離なく運べれば考慮する余地はあったが、人気馬が挙って内目に入った事で、この枠からだと厳しい競馬を強いられそうで。押さえまで。

 マイネルサーパスの2走前迄は、抜け出して最後ヨレる悪癖。其れをふまえ、前走では後ろから捲り気味に進出し、福島の短い直線で一気に先頭に並び掛け、追い抜く手前で緩め2着馬に併せながらのゴールで、鼻差以上の強い勝ち方。今回GⅠ戦になり相手が強くなるのはプラスに働く可能性が大。ワンターンの経験がないのと、坂と長い直線と課題は多いが、期待感の方が大きい。相手から連下。

 ケイデンスコールも末脚が堅実なタイプだが、過去2戦からはスパッと斬れるタイプではない。一頓挫ありきのローテで休み明け。勝負処で反応できるかが怪しい。押さえ迄。

 追い切り良かった馬から、グランアレグリアの2着として2週続けて動きも良かったドゴール。前走ハイペをかろうじて粘ったクリノガウディー。札幌2S上位馬のの活躍目立つエメラルファイトまで押さえる。