フェブラリーS(2019)のレース考察記事です。
レースに至る迄の有力馬の経緯

 本追い切り記事でも述べたが、ルヴァンスレーヴの戦線離脱により若干混沌とした今年のフェブラリーS。やはり人気は目下6連勝で前走GⅡを勝ったインティ。過去条件戦以下は全て4馬身以上、重賞初挑戦となった前走に於いても、面子は弱かったにせよ、全く危なげなく2馬身以上の着差なのだから恐れ入る。人気になってもしゃあなし。

 対して意外だったのがゴールドドリームで、インティと近い処で人気を分け合うかと思っていたのだが、前日時点で4倍付近。抑々、東京ダートマイル戦で無類の強さを誇るゴールドアリュール産駒に加え、一昨年の勝ち馬であり昨年僅差の2着馬。其の昨年も、早め抜け出しでソラを使った処で猛追してきたノンコノユメに「展開のアヤ」後塵の拝したダケで決して力負けではない。其れに加え、一昨年秋のチャンピオンズCを勝利してからは、其れ迄ムラのあった地方競馬に於いても連を外さずに、実に堅実な成績を残しつつ、名実共にダート界のトップリーダーとして君臨。其処へ現れたのが新星ルヴァンスレーヴ。南部杯では未だゴールドドリームの支持が強かった。然し、終わってみればルヴァンスレーヴに軍配が上がる。斤量差を考慮しても稍力負けと云うか勢い負けの感があった。評者もルヴァンスレーヴからの馬単1点勝負で獲らせて貰い、してやったりと本気のドヤ顔したものだ。

 此の2頭の直接対決は、惜しくも昨年の秋には実現しなかった。ゴールドドリームの直前回避である。そして今走はルヴァンスレーヴの回避。育ちの悪い評者は此処で獲り分けでなのではなかろうか、と邪推してしまうが、是も又競馬を楽しむ一要素なので仕方がない。仮にそうであるならば、過去2度馬券になった馬は3度目はないのジンクス云々に関わらず、ゴールドドリームが勝ち負けする可能性が高いという事になる。唯でさえ大幅に条件好転する筆頭の当馬なのだから、下手な邪推をしなくても普通に勝ち負けであろう。只ね、ルヴァンスレーヴに負けたのはまだしも、オメガパヒュームにも前走で負けたのは戴けない。話しを蒸し返すが、仮に獲り分けの意向があったとして、ルヴァンスレーヴが3歳で順調に中央ダートGⅠ馬の道を歩んだのに対し、当馬は明け6歳馬。勢い冷めやらぬ充実期とするならば、5歳秋時点の当馬の方だったのではなかろうか。

 前述、昨年の負けは「展開のアヤ」と云ったが、其れでも昨年の唸るようなデキで負けるとは、確勝級だと思っていた評者も想定外であって、其れも負けたのがノンコノユメなのだから、まさかまさかの結果である。

有力馬の力関係を考えてみる

 例の2ランク内に掲示した馬3頭の中から勝ち馬が出て、且つ追い切り記事下方に表記した馬で上位を占める事が当記事の前提である。人気馬集中であるから、軸にする馬を複数選ぶ譯にも行かぬので、上記を踏まえ今一度整理する必要がある。

◆ 昨年のフェブラリーS参戦の有力馬 

 先ず、ゴールドドリームを筆頭に昨年のフェブラリーS組で括る事が出来る。昨年のワンツーのノンコノユメ、ゴールドドリーム、サンライズノヴァ、モーニンは3年前の勝ち馬。

 ノンコノユメは、昨年同時期は最終追い切りも併せて意欲的に消化。追う毎に良化が見て取れたが、今走では一週前に併せてハードな追い切り消化も、最終追い切りは馬なり単走追い。昨年根岸Sから当レース連勝以来、複勝圏すら逃し3歳時に2着としたチャンピオンズCでさえ、昨年秋同舞台では良い処なく掲示板すら逃す。それに加え、今年は其の昨年秋以来の参戦であり、いわゆる休み明けの部類で明け7歳だ。

 ゴールドドリームは、時計は昨年同樣秀逸で2週続けての抜群の追い切りで各専門紙絶賛。評者は敢えて其処に抗う。追い切り記事でも述べた様に、昨年に比し若干四肢の動きが伸びやかでなく加齢によると考えられる硬さを感じる事。其れに加え、元々カッカし易い勝気なタイプであり、昨年は徐々に上げていった印象が強く、今追い切りでは2週続けて速い時計を出すのが必ずしも良いとは思えない事。4歳トップクラス2頭に負け(2戦2敗)ている事。勝った一昨年と同じも、内枠ではどうしても早めの競馬を強いられたり後手を踏んだりで、前塞がるのを前提に勝負処で出せる位置を確保しなければならない事。そして前述同様、明け6歳で伸び代には疑問が残る事などが不安点として残る。

 サンライズノヴァは、昨年成長度合いが顕著で、反則的なほど東京コースオンリーでオープンクラスと格下重賞に加え主に1400mで結果を出して来た。昨年秋のチャンピオンズC結果度外視し、前走根岸S前迄は当レースで本命にしようと考えていた一頭だったが、此処に来て再考させられる事態になった。前走根岸Sでは、仕掛けが早かったという見解も散見されるのだが、昨年あれ程無類の強さを誇った東京1400mで見せ場無しの8着。こうなると、昨年秋のチャンピオンズCの結果と併せて考えねばならず、抑々、後方一気に徹底してきた一年であり、今追い切りで終いが掛かった事からも昨年以上とは思えなくなってきた。

 モーニンは、3年前に勝って以来、地方競馬含め重賞では今一歩だったが、昨年芝の短距離を使われ、海外にも遠征と、オープンクラスではあるが久々の2勝。京都で施行されたJBCスプリントでも差のない競馬を見せ、更に前走根岸Sではトップハンデの58kg背負って強い内容の競馬をしており、明け7歳馬にして応変の対応が見られる馬である。元々1400mで強さを見せてきたが、まだまだケイコでも動けており、ズブさが目立つ様になった今ならマイルの方が合うのではと、一縷の望みはある。結果前走届かなかった分、脚も測れた筈だし、前走の流れよりは明らかにGⅠである今走の流れの方が合う筈である。

◆ 根岸S臨戦からの有力馬

 コパノキッキングは、連勝で臨みカペラS・根岸Sと連勝し目下4連勝と破竹の勢い。追い切り記事同樣にトビも綺麗な4歳馬で伸び代は十分。体付きも未だ若いが、雰囲気は前走以上。其れでも負かした相手が一戦級とは言い辛い。それに加え鞍上の乗り替わり著しく、又海外騎手を交えた事で近走も変わりなく、後方から前目好位からと位置取りや競馬もまちまちである。其れでも勝ってるのだから能力の高さは自明であり、然しながら未知数な面も含め、まだ此処では無いだろうと考えている。菜七子ちゃんは応援しているものの、「未知数&騎手経験不足」のコンボでは、是に「全てに嵌る」という不確定要素のソースが加わらなければ如何せん触手は伸び辛い。

 ユラノトは、追い切り記事でも述べた様に、若干気懸りな面見せるも動きは前走以上。只、其の前走ではルメール騎乗の上、好位先団からインを周り粗ベストなタイミングで抜け出しを図り、後は突き放すだけだったのが思うように伸びれずだった。トビは綺麗で抜群の動きだが、順調さを欠いたと云えど昨年の武蔵野Sでも然程だったし、やはり重賞では経験不足という事なのだろう。東京マイルにも、今レースの流れに合うかも疑問が残るし、この前後の1400m、1800mでパフォーマンスを出せる馬なのではないかと思う。ルメールから福永への手戻りは悪い訳ではないが、乗り替わり自体は決してプラスに働かない筈。ケイコも稍オーバーワーク気味な感も否めず。

 クイーンズサターンは、少し長めの距離で結果を残してきて、武蔵野S3着、根岸S2着と距離を縮めて、又、東京の短距離ダートで結果を残せた事は間違いなくプラス。鞍上も其のままで人気も然程であるから、気楽に乗れるメリットもある。只、最内枠はマイナス。勝つ可能性を見出すなら外寄りの枠であったろうと思う。抑々、「重賞で一歩足りない馬&最内枠」コンボだと・・・。

 モーニンは、前述で述べた通りで割愛。この臨戦からで、今レースで合う筆頭はこの馬だと思っている。

 サンライズノヴァも、前述の通りにて割愛。

◆ 他路線の有力馬  

 インティは、冒頭で触れたので簡単に、騎手を長めに(笑)。東海S臨戦からの唯一の参戦馬だけに力関係を測り辛い面もある。其前走での面子は明らかに格下感で、唯一勝負になったのは2着のチュウワウィザードのみ。其れでも、前走同舞台のチャンピオンズCの時計と比べると、その強さは際立つ。だからと云って東京コースでも同様という訳には行かぬし、7戦中6勝が1800mでマイル自体が初とこれはマイナス要素。其れに加え東京コース初と是も大幅にマイナス要素。然し、鞍上は逃げ馬に乗せたら現役騎手では右に出る者は居ない武豊J。ざっと思いつくだけでも、キタサンブラック、コパノリッキー、マテラスカイは近走イマイチも、スマートファルコン、古くはゴールドアリュール等々数え挙げたらキリがない程数々の名馬を大舞台で勝利に導いてきたレジェンド。サンデー産駒、主にディーインパクトで差し追い込みのイメージが色濃いのだが、元々は先団好位で折り合い、此のポジションからの競馬が抜群に巧い騎手で、前人未到の4000勝を挙げたのも此の要因が強い。古くは武豊を育てた馬と云われる事の多い「スーパークリーク」とのコンビで菊花賞をGⅠ初制覇。同時に初クラシック制覇。この馬も好位差しの競馬でクラシック初制覇以降、好位先団からの競馬で以後の重賞を勝ち上がった記憶がある。話を元に戻すと、インティは消耗してない5歳馬、強い勝ち方での連勝、重賞を楽に勝利、武豊鞍上等プラス要素も大幅に多い。つまりは、マイナス要素も多いが其れ以上にプラス要素も多いと云う事。「強い逃げ馬&武豊&連勝&5歳馬&期待感」と最強コンボ。前走時の記事でも述べたが、ルヴァンスレーヴとタメ張れるのは此の馬だろうという認識に変更はない。何年も前になるが、トランセンドが逃げて勝った事があったが、其れ以上ではないかと思っていて、前走走破時計と併せ其れを物差しにすれば、レース経験やコース経験が不足していようと十分に勝ち負けできるレベルであると考える。

 オメガパヒュームは、左周りでモタれる癖があり、東京マイルでの3着、チャンピオンズC5着と連を外したのは全て左周りであるのは確か。其れ以外は連を外しておらず、地方交流重賞を含め、重賞で5戦4連対(内2勝)連を外したのが左周りのチャンピオンズCのみでも掲示板は確保。と、安定感は抜けており実績はトップクラス。確かに左周りの懸念はあるも、チャンピオンズC時の追い切りに比べ、明らかに終いの伸びと動きは違った。是はモタれ癖が強制されてきたと思っている。このレースが実績上位馬との結び付きは強く、面子を見渡せばGⅠ馬は、当馬の他にゴールドドリーム、モーニンのたった3頭。近走勝ち倦ねる6歳・7歳馬と伸び盛りの4歳馬を比べればどちらに分があるかは単純なロジックで導き出せる。

 サクセスエナジーは、追い切り映像見る迄は箸にも棒にも掛けていなかったが、マイペースな力強さがあり動きも中々で俄然興味が湧いてきた一頭で、前走の勝ち方も強い。

 サンライズソアは、チャンピオンズCからの臨戦。毛ヅヤ良く動きは抜群。追い切りの動きだけなら間違いなく1、2だろう。只、評者はこの馬は外国人ジョッキーでこそという観念がい。更に昨年、ルメールやモレイラ騎乗でも本命及び対抗にすらしていない。現に此処3戦はルメルメモレでオール3着。田辺Jがどうとかではなく、日本人ジョッキーへの乗り替わりはマイナス要素が大きく、人気して勝つ馬ではない気がしてる。

フェブラリーSのまとめ

 インティオメガパヒュームゴールドドリームの3頭の中から勝ち馬が出ると結論づける。前行く馬は目標にされるので結果は其の時次第ではあるが、やはり競馬は前行く馬が有利でダートなら尚更の事。後ろがゴチャ付いて思った程伸びなければ、渋太い先行馬は残るのであって、後ろから行く馬は直線で垂れる馬も含め、前の馬を交わさなければならないという行程を経て、如何なく末脚を発揮しなければならず。

 インティのプラス要素の大きさで本命軸に。飛んだらしゃあなし。オメガパヒュームは、格と安定感あるも、モタれはやはり気になるので対抗に。是が本線。

 ゴールドドリームは昨年本命にした馬で未練はあるので頭以外で。追い切りで動き良かった、サクセスエナジーも勝つまではどうかだが相手から連下なら。以下、根岸S組なら一番向きそうなモーニン、応援の意味も含め菜七子ちゃん騎乗のコパノキッキング、パイロ産駒のコース巧者でクラス上がっても其れなりに走れそうなクインズサターン迄。あとはパドック見て買い足すかどうか。